高齢者の自分らしい生活を守るフットケア

足病変予防や歩行機能の改善にプラスな影響を及ぼすフットケアは、高齢者の健康を考えるうえで重要な役割を果たしています。

人は高齢になると、加齢の影響で視力が落ち、身体の柔軟性も落ちるため、自分の足先をよく見ることができず、なかなか手も届かなくなります。爪を切るのが難しくなれば、足の変形にもなかなか気付けなくなります。その結果、巻き爪で皮膚を傷つけてしまったり、爪囲炎(爪の周りの炎症)になったりというトラブルが起きやすくなります。

足の疾患で痛みが出れば、必然的にあまり歩かなくなります。そうなれば、運動量が減り、筋肉量や筋力が落ちていきます。結果、転びやすくなって怪我のリスクが高まったり、行動意欲が低下して老人性うつや認知症の原因になったりとあらゆる面で悪影響が出てきてしまいます。

上記の理由から、高齢者が自分らしい生活を送るためには、フットケアはとても大事なものだといえるでしょう。実際、フットケアを実践する際には、以下の点に注意することが重要になってきます。

まず注意すべきなのが、靴の選び方や履き方です。基本的に高齢者は、幅が広い窮屈ではない靴を選ぶことが多く、また脱ぎ履きがしやすいようにと靴紐を緩めに結んでしまいがちです。しかし、これらは足の疲れや歩きにくさにつながるだけでなく、転びやすくもなります。フットケアの場面では、高齢者の靴が足にフィットしているかを確認し、靴紐があればしっかり固定するように指導しましょう。

次に挙げられるのが、フットケアで足を洗った後、保湿を忘れないということ。高齢者の肌は乾燥しやすいため、ひび割れが起きやすくなっています。ガサガサになった結果、痒くなって引っ搔いてしまうケースも多々見受けられます。特に足裏がひび割れしやすいため、入念に保湿クリームで表面を保護し、柔らかく保つようにしましょう。